この意識、ルイ・ヴィトンで買ったのよ

「意識の高い」という日本語は一体いつ頃誕生したのか?

もともと、「○○意識が高い」という日本語は結構古くから見られる。
インターネットで調べられるギリギリ昔、1970年の時点でも、
「環境意識が高い」「○○への高い意識が」という形で
「意識」と「高い」という言葉は結びついているし、
英語で”highly conscious”と入力して調べてみても、
同様に1970年の時点で使用例が見つかった。
本を探せばもっと昔の使用例も見つかるだろうけど、
そこまでするほど暇ではない。

もしかしたら、「意識が高い」という言葉づかいは、
もともと英語のものだったのかもしれない。
英語の本の和訳によって、「○○意識が高い」という言い方が
日本語に持ち込まれ、やがて「○○」の部分がとれて「意識が高い」だけでも
意味が通じるようになったのではないか、と。

「意識が高い」という使い方がいつ誕生したのかは結局分からなかったが、
「意識の高い」が「www」や「(笑)」の対象となったのは、
どうも2010年11月ごろかららしい。

2010年11月1日に、twitter上で「意識の高い学生bot(@omaehikui)」が誕生し、
たちまち人気を集め。フォロワー数の推移が見れないのが残念だが、
11月16日の時点で「なぜあんなにウケてるのか」が議論されていたりするので、
たぶん(少なくとも学生には)相当ウケたんだろう。(togetterより)

ここではWeb上のことばっかり話しているけれど、
基本的に「意識高い」というのはネットスラングであり、就活スラングである。
たぶんおっさんおばちゃんは(人事を除いて)「意識高い」に
なんのネガティブなイメージも持っていないし、「意識の高い動物」なんて知らない。

だから、逆にネットのちょっとしたことが、ネットでは大きなニュースになったりするし、
「意識の高い学生」botもたぶんそういうことだった。
これによって、ネット界隈の人には「意識の高い学生」のイメージが出来上がり、
嘲笑の対象になった。というより、嘲笑のネタにしやすくなった。
これが全ての原因というわけではないし、こういうキャラがウケるということは、
その時点である程度「意識高い学生」的なキャラの人はいたんだろう。
で、そいつらはちょっとムカつく存在だったのだろう。

まあでも、これによって「意識高い」には、
忌むべき言葉というイメージがだいぶついた。
「草食男子」という言葉が生まれることで、
「そういうタイプの男子」が認識されてしまったように、
「意識高い」という言葉が、「意識高い学生」を生み出した。

で、先日。
自分のtwitterにて、
「意識が低いだけだとダメ人間ですが、
 高すぎると気持ち悪くなる。むずかしいところです。」
というツイートをしたところ、意外に多くの人から反響をもらった。
実際は3人だけだが、1つのツイートに3人からリプライが来るというのはけっこう珍しい。
みんな何かしら「意識高い」に関して思うところがあるのか、と思い、
それがこの日記を書くきっかけにもなっている。

その3人の反応をまとめると、
「本当に意識が高くて何かを成そうとしている人と、
 『意識が高い』と笑われるだけの人間は違うから、
 前者になろうとすることは実は恥でもなんでもない」
ということ。

つまり、嗤うべき「意識高い学生」もいるにはいるが、
本当に「意識の高い人」もまた存在するということ。
それを同じ「意識の高い」でくくってしまうことに問題があり、
実際には2つは似て非なるものである、ということ。

これはまさしくその通りで、
よくよく考えれば、我々は孫正義を「意識が高い」なんて言ったりしない。
スティーブ・ジョブズもそうだ。彼らを「意識が高い」なんて言うのはおこがましい。
ジョブズになりたい奴(ジョブズワナビー)を「意識が高い」とは言う。
でも、ジョブズになろうとして、実際にIT会社を立ち上げたり
しちゃってる人間を、「意識高い」とは呼べない。
でも、その製品がものすごく低品質で使えなくて、
にもかかわらず「俺は第二のジョブズになるんだ」なんて言ってる奴は、
「意識が高い」と揶揄されることになる。
彼らに何の違いがあるかというと、
つまりは「実際何をやったのか」ということになる。

つまるところ、行動が伴えば「意識が高い」なんて揶揄されない。
けど、サークルを立ち上げたり起業すればいい、ってもんでもない。
作ったサークルなり会社なりが、実際にどういうサービスを提供していて、
それは世の中にどう役立ってるのか、ということまで含めて評価される。

けど、またまた難しいのは、だからといって「甲子園に行けない野球部」に
意味が無いわけではない、ということだ。結果がすべてでもない。
結果も大事、過程も大事、という、何百回も聞いてきたであろう
お決まりのフレーズに結局は落ち着くことになる。
結果も過程も抜きで、えらそうなことだけ言っていると、
みんなから石を投げつけられる。

とにかく、もしあなたが「意識高い」と呼ばれるのを恐れて、
何かをしたり何かを読んだりするのをためらっているとすれば、
それはだいぶ無意味なことである。
まず、SNSでお知らせさえしなければ、誰かにあれこれ言われることもないし、
面と向かって「君は意識高いね」なんて言う奴もまずいない。
で、仮にSNSをどうしても使わざるをえないプロジェクトだったとしたら、
言葉づかいにさえ気をつければいい。
「ソーシャル」「まちづくり」とか手垢のついた言葉さえ使わなければ、
そんなに「意識高い」カテゴリーに入れられる危険性はない。
要は、あんまり言葉で着飾らなければよい。

「意識が高い」というのは、つまるところ、
「言葉で着飾った連中」のことを指している。
そのファッションが華美であればあるほど、
そしてそのファッションが似合わなければ似合わないほど、
彼らの「意識」のお値段は「高い」。

――――――――――――――――――――――――――――
付録:
twitterと「意識の高い」の関係性について。

2010年11月1日、「意識の高い学生」botが誕生。

2012年1月には「意識の高い動物」系botがまとめて話題になる。
このブームの先駆けとなったのは、「意識の高い猫」(@HighIshikiNeko)。
彼が一番古株で、twitterをはじめたのが2011年4月15日。

そしてその後、次々と同じテイストのアカウントが生まれる。

2011年12月1日に、「意識の高い熊」
2012年1月7日に、「意識の高い犬」「意識の高い鳥」「意識の高いライオン」
2012年1月9日に、「意識の高いサイ」
2012年1月17日に「意識の高い豚」
2012年1月21日に「意識の高い蛙」
2012年1月22日に「意識の高いハムスター」「意識の高いうさぎ」「意識の高いリス」「意識の高い魚」。

1月22日に、「NAVERまとめ」で「意識の高い動物」特集が組まれ、
これがtwitterで一躍流行ワードにおどり出る。
1月22日に4つも同じキャラが出ていることから、
「意識の高い動物」たちは、たぶん同一人物(あるいは組織)が
計画的に仕掛けているんじゃないか、と思う。

そのほかの誕生は以下のとおり。
2012年1月23日「意識の高いねこ」(ひらがなである点に注意)
2012年1月25日「意識の高い猿」
2012年1月28日「意識の高いエボシガイ」※
2012年1月29日「意識の高いパンダ」
2012年3月16日「意識の高い蟹」

※「意識の高いエボシガイ」は、
アカウント自体は2007年3月8日から存在していた、ということになっている。
ただ、もし2007年から存在していたとしたら、あまりにブームを先駆けしすぎているし、
なぜ犬や猫ではなくエボシガイなのか、という点に疑問が残るため、
遡って見れる一番古いツイートの1月28日を誕生日とみなしている。

・twitterの解析には以下のサイトを使った。かなり便利。
http://twtrland.com/

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