固定相場制について考える

経済学の本を読んでいると、マネーサプライとか金流出とか、
その結果としてのドル高、インフレだとか、そういう話が出てきて、
正直なところ、これがまったくわからない。

「どうして金本位制のもとでは、金が出ていくとインフレが起こるのか?」
「どうやってドルとか円とかユーロの値段は決まっているのか?」
「『外貨準備』ってなんだ?どうして日本銀行がドル札を持つ必要があるのか?」

経済学の本はたくさん読んでいるけれど、
改めて考えると、こういうことが実は全然理解できない。
これはいかん。
経済学の本を斜め読みしてしまうのは
書いてあることがちんぷんかんぷんだからだ。
ちゃんと内容を理解して、
『クルーグマン教授の経済入門』とか『マンキュー マクロ経済学』とか
しっかり読めるようになりたい。

そう思ったので、実際にイチから考えてみることにした。
今自分が読みすすめている分野が「貨幣の経済学」なので、
まずは貨幣について考えようと思います。

「円高とかドル安とか言うけれど、
ああいう現象はどうして起こるのか?」
「円高になると日本経済にダメージがあるって言うけれど、
なんでだ?てか、それなら固定相場制にしたらいいんじゃない?」

こっからスタートします。
たぶん、経済学をちゃんと勉強した人からすると、
笑えるほど初心者の地点からスタートします。
自分自身が初心者なので。

――――――――――――――――――――――――

固定相場制っていうのは、
たとえば「1ドル=100円」とかレートを固定しちゃって、
・・・固定しちゃう制度だ。それ以上でもそれ以下でもない(はず)。

これの何がいけないのか?
どうして今変動相場制になっているのか?

「1ドル=100円」という数字をいくら見ても、
この制度じたいに大した問題はなさそうだ。
ドル札1枚を100円と交換します。はい、以上。
なんの問題があるんだろう?

たとえば、これがもっと関係のない国だったら、
もっと問題はなさそうに見える。
たとえばどっかの星、仮にナブー星とすると、
そのナブー星で流通している貨幣を1ナブーとします。
で、1円=2ナブーという固定相場制を作ったところで、
たぶん問題はゼロだと思う。
だって地球とナブー星のあいだには取引はないからね。

そもそも、固定相場制というのは、
取引がないと発生しない。貨幣コレクターでもないかぎりは、
自国と他国の貨幣をわざわざ交換する必要はないからだ。

というわけで、「取引」という観点を加えてみる。

アメリカを象徴する製品、っていうと、まあ仮にiPhoneとしよう、
で、iPhoneが5万円ってことにします。
すると、1ドル=100円のもとでは、500ドル。
つまり、iPhoneが1台売れるたびにアップル社は500ドル受け取るってわけ。

やっぱり何も問題はなさそうな感じがする。
日本人は5万円を払い、アップルは500ドルを受け取る。
途中に両替おじさんを挟まなきゃいけないけど、
両替おじさんがニコニコ100円と1ドルを交換しているかぎりは、
なんの問題もなさそうだ。おじさんがミュージシャンを目指すってんで、
ギターを抱えて両替所を出ていったら少し困るけれども。

いや、たぶんどっかに問題がある。
ヒントはやっぱりこの両替おじさんだ。

家電量販店でiPhoneが5万円で売られている。
日本人は財布のなかから5万円を出し、それを買う。
5万円は両替おじさんのところに行き、500ドルに変わる。

ここがどうもおかしい。
両替おじさんはどっから500ドルをひっぱってきた?

仮に、おじさんが両替前の時点で1000ドルと10万円持っていたとしよう。
iPhoneが2台売れたら、おじさんは1000ドルを両方手放して、
かわりに10万円受け取ることになる。(手数料とかは無視ね)
そうなると、取引後のおじさんの手元には20万円だけが残る。
おじさんの1000ドルはアップル社のところに行った。

あれ?もう両替できない?
両替屋は廃業か?
おじさんはやっぱりミュージシャンになるべき人だったのか?

そんなことはない。音楽で食っていくのは難しいし、
両替おじさんは別の両替おじさんを見つければ廃業せずにすむ。
今もらった20万円のうち、10万円を1000ドルに変えてもらえばいいのだから。

でも、別の両替おじさんはどうして1000ドルを持っていたんだ?
その「別の両替おじさん」の手元からドル札がなくなったら、
また「別の別の両替おじさん」を探すのか?
その「別の別の両替おじさん」の手元からドル札が・・・

こう考えていくと、
ドル札はみんなアップル社のところに行って、
おじさんのところには円ばっかり集まりそうな気がする。
でも現実にはそうならない。なぜか?

逆の取引を考えてみよう。
任天堂のWiiが世界中で大人気だったとする。
Wiiの値段を2万円としよう。
すると、Wiiを買いたいアメリカ人は、両替おじさんのところに行って、
自分の200ドルと2万円を交換してくれと言うはずだ。
いや、正確には、アメリカ人が支払った200ドルが、
両替おじさんのところにいって2万円に両替されて、
その2万円が任天堂のところに行くわけだけれども。(流通費用とかは無視ね)

すると、さっき円だけしか持っていなかった両替おじさんは、
ふたたびドル札を手にすることができる。
Wiiが5台売れたら、20万円だったおじさんの所持金は、
ふたたび10万円と1000ドルに戻るはずだ。
(おじさんの給料はどこから出ているのか?という話には触れない)

つまり、
iPhoneが2台売れてWiiが5台売れる状況だと、
おじさんの所持金は10万円と1000ドルで安定していて、
おじさんは無事に両替業務をこなすことができる。

じゃあ、みんながiPhoneが素晴らしいからってんで、
iPhoneを5台買うような状況だとどうなるだろう?

アメリカ人の合計が「1000ドル出すから10万円と交換して!」で、
日本人の合計が「25万円出すから2500ドルと交換して!」になる。

なんという不均衡!
仮にこの世に両替おじさんが一人しかいなかったとしたら、
1000ドルと10万円しか持っていないおじさんは、
全員の要求を満たすことができない!
仮にアメリカ人との交換を先にすませても、
おじさんの所持金が2000ドルである以上、
誰かがドル札と日本円を交換できない!なんてこった!

これは困った。
どうしたらいいのだろう?

ひとつは、アップル社に「一部だけ円で受け取ってちょうだい」と
お願いするという方策がある。
極端な話、日本人が払った25万円が、
そのままアップルのところに行けば何も問題はないわけで、
アメリカ国内でも円が流通するようにすればいい。
そうすればアップル社は円で社員に給料を払うことができるし、
社員はそのお金でWiiやなんや日本製品を買うことができる。
両替おじさんにたよる必要はない。
(結局その場合、両替おじさんは廃業に追い込まれるのだけど)

そう考えると、世界中で通用する通貨みたいなものがあったら
さぞ取引は便利だろうなあと思うし、実際ユーロの試みは、
それに近いものがあるのだと思う。
世界中とまではいかずとも、ヨーロッパ中(イギリス等除く)で
使えるわけだし、そうなると両替おじさんに頼らなくてすむ。
実際の両替おじさんは手数料もとるしね。

けど、今のユーロ圏の状態を見るに、
あんまりこの試みはうまくいっていないような気がする。
貨幣だけが原因ではないけれど、
貨幣の統一が原因で起きている(とされる)悪影響もたくさんある。
このへんの話はまた難しいというか、
具体的な話になってくるので、うかつに論ずるのは危ない。
それよりかは、牧歌的な両替おじさんの話に戻ろうと思う。

と思ったけど、文字数が3000文字を超えてしまっているし、
こっからの話はけっこう長くなりそうなので、
ここで1回区切りを入れておく。
書いてて非常に楽しいので、またすぐに続きを書くと思います。

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