不安について

死の不安に直面したときには
2つのやり方がある。

1つは、とてもポジティブなものだ。
すなわち、「明日死ぬかもしれないから、
今日を精一杯生きよう」という考え方。
これはある。
「メメント・モリ」なんていう格言も、
基本的にはこのことをベースにしていると思う。

もう1つは、とても消極的だ。
すなわち、「明日死ぬかもしれないから、
何もかもどうでもいいや」という考え方。
これもある。

で、私は、先週の金曜日ケガしてから
およそ1週間経つわけだけど、
この両方を体験した。

金曜日から月曜日までのあいだ、
すなわち私が包帯を頭に巻いていたとき。
このときは前者の考え方を採用していた。

で、月曜日にお医者さんに行って、
「傷の治りは順調ですし、
 今出てる症状もそんな気にすることはないですよ」
と言われて安心する。

安心したはずなのだが、
月曜日から今までは、なぜか後者の考え方になっている。
すなわち、不安で何も手につかないという状態になっている。

なぜ?

そう、「なぜ?」

不安の大きさとしては、
月曜日以降よりもむしろそれ以前のほうが大きい。
金曜から月曜日の間は、私は「本当に死ぬ」と思っていた。
明日死ぬとか、寝ているあいだに死ぬとか、
そういう恐怖をリアルに想像しながら生きていた。
ちょっと何かあったら救急車を呼ぼうとマジで思っていた。

月曜日以降は、「今すぐは死なない」と思っている。
けど「なんか何週間か何か月か後に死んでしまいそう」
と思っている。いつなのかははっきりしない。
たまに「今死ぬかもしれない」と思う。

ふつうに考えて、死をこんなに心配する必要はない。
私のまわりでも、6針縫うケガをしたけど
今ふつうに生きている後輩がいるし、必ず死ぬようなもんじゃない。
それどころか後遺症すらそんなに残らない。

これまでの私らしく、統計データに頼ってみよう。

頭部外傷数(私みたいに頭をケガする人)は年間およそ28万人。
交通事故による頭部外傷の死亡率は5%。
じゃあ私は5%の確率で死ぬのか。随分高いな。
ってなことにはならない。

頭部外傷にはいろんなレベルがある。
単にたんこぶができただけってレベルもあれば、
脳挫傷・脳震盪を起こすようなレベルもある。

私の症状は、CTスキャンで見てもらったら
特に頭蓋骨と脳に異常はなかったので、
頭の皮膚が裂ける「頭部裂創」にあたる。

で、この頭部裂創レベルだと何%で死ぬのか、ってのは、
あいにく出てこない。出てこなくてよかったというべきかどうか。

でも、「交通事故による死亡率5%」の中には、
あきらかに私より重い、頭蓋骨骨折の人なんかも含まれている。
その人たちは私より死亡率が明らかに高いだろうから、
私の死亡率は、少なくとも5%より小さい、ってことになる。

私は(5針縫ったけど)それに比べればまあ軽微は軽微なので、
よかったっちゃよかったのだが、まだ気を付けないといけないことがある。

それが、事故から3週間~3か月して起こることのある
「慢性硬膜下血腫」という病気である。
簡単に言うと脳の中に血がたまる。
そういう水袋みたいなものができて、脳を圧迫する。

で、これも今調べてみて初めて知ったが、
高齢者のほうがリスクは高いらしい。
逆に言うと若い人には少ないのか。よかった。

「慢性硬膜下血腫」についての詳細は、
ここで語っても大しておもしろくないので割愛するけど、
「若い人で起こることはまれです」と、
Web上の医者のブログでも、また実際のお医者さんも
言っていたので、確かにそこまで心配することもないかもしれない。
最悪手術することになっても、
後遺症が残らないこともあるそうだし。ふう。

そうすると、今私が気を付けるべきリスクってのは、
頭のケガそのものよりもむしろ、
今起こっている過剰なストレスによる体調不良、
のほうが大きそうだ。

実際、今自分の体に起きている変化というのが、
事故のせいなのかストレスのせいなのかわからない。
最近腹の調子があきらかにおかしいのだけど、
これはたぶんストレスだ。そんなことはお医者さんは言ってなかった。

あと、少し頭が重いのはけっこう不安だが、
でもこれもよくわからない。
というのも、
太鼓をたたいたり(今度ライブやります)
おいしいご飯を食べているときには、
きれいさっぱり頭の重さも吐き気もなくなるからだ。
何かに集中していると大して感じない。
となるとこれは単に心理的なものなのか?
それもちょっとよくわからないけど。

なんにせよ、今日ちゃんとデータを見るまで、
かなりのあいだ死の恐怖と接して暮らしていたので、
ストレスが相当たまっていたのは間違いない。
うつ病の初期症状なんじゃないかと思ったこともあった。

まあでも、私がいわゆるPTSDに該当するかっていうと、
どうもそうじゃないらしい。これも今日調べてみてわかった。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)にある、
いわゆる「フラッシュバック(事故の記憶を突然思い出すこと)」もないし、
睡眠に関してはかなりよく眠れている。
おととい乗ってみたら自転車にはふつうに乗れたし、
今も安全運転で乗っている。つまりトラウマにはなっていない。
このままほうっておくと、うつ病とかに落ちる危険はあるけれど。

このストレスを解消する方法のひとつが、
やっぱりデータをきちんと見ることだったのだと思う。私にとっては。
「わからない」ってのはストレスだしね。
だいたいの数値でいいからわかるだけでもありがたい。

さっき慢性硬膜下血腫の発生確率をぼんやりとしか書いてなかったけど、
ちゃんと計算すると、0.4%~1%ぐらいの確率だった。
で、高齢者のほうが高いので、
私の確率は少なくとも1%より小さい。たぶん0.5%以下だと思う。
へたしたら0.1%以下かもしれない。そう思うとよかった。

死は無限大である、とこの前の日記で書いたけど、
人間は無限大には耐えられない。
たとえば失恋っていうのも無限大の喪失だけど、
それはやっぱり耐えがたい経験だと思う。
無限に死に注意しつづけることはできないので、
ほどほどに死に注意することにしようと思う。0.1%ぐらいで。

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