航空会社はオランウータンを雇えばいい

世の中には平気でビジネスチャンスを見落とす人々がいて、
そのひとつが航空会社である。
彼らは航空券の値段を決めることに関しては
目の色を変えて熱中するけれど、
足元のビジネスチャンスには目もくれない。空を飛んでいるので。

と、書いて思ったけれど、
ビジネスチャンスを見落としているのは
空港のほうなのかもしれない。
どちらにせよ頭がヒコーキ野郎である。
なにせ彼らは独占市場に暮らしているので、
サービスの向上なんて考えなくていい。

やたらと悪口を言っていますが、
飛行機で移動することに関して思うのが、
「荷物」の扱いがありえないほど不便だということです。

今回トルコには、楽器を持っていくか、
もしくは楽器をむこうで買うかするのですが、
楽器のサイズが、微妙に手荷物の範囲を超えます。
ほんのわずか。数センチ程度。
噂によれば、強引にNOと言えば(NOと言える日本人)
手荷物で持って入れるらしいのですが、
でもいちいちそういうことをさせるのは不便です。

そもそも、手荷物制限の
「23x40x55 cm」というのはどこから来たのか。
そしてこの制限にどれほどの合理性があるのか。
そこがちょっとよくわからない。
そこを5cmほど超えることがどの程度影響があるのか、
そういうことの説明をしてくれる航空会社はない。

仮に手荷物で持ち込めないとして、
荷物室に預けることになったとします。
そうすると今度は、かなりの確率で破壊されます。
これがよくわからない。

なぜ「多少丁寧に扱う」ということができないのか?
オランウータンに作業させているならまだしも、
ちゃんと人間が働いているんだから、
「投げる」以外の動作ができるはずじゃないのか?

なにもデリケートな楽器にかぎった話じゃなくて、
ふつうのスーツケースとかでも、投げられれば当然傷がつきます。
へこんだりします。その損害賠償を航空会社は負わない。

これはどうかしている。

そして、あるビジネスが「どうかしている」と思うとき、
すなわちそこにはビジネスチャンスがあります。
より良い商品を作り出せば、そこにお客が行くから。

このケースでいうと、
航空会社には3つのビジネスチャンスがあります。

1.空港作業員をオランウータンに変えて、人件費を削減する。

2.荷物を投げるのではなく、丁寧にあつかう。

3.一部の荷物はオランウータンに担当させて、
 残りの荷物について、「丁寧取扱料金」として幾らか支払えば
 人間の手で丁寧にあつかってもらえるようなシステムを構築する。

―――――――――――――――――――――――――――――

1番について。
なんでもオランウータンの食費は年間15万円ですむらしい。
人間をひとり雇えば年間300万はすることを考えると、
これはすごいコストカットになる。
人権のことなんて考えなくていいから、長時間労働も大丈夫。
BOS(ボルネオ・オランウータン・サバイバル。インドネシアの自然保護NPO)の連中がやってきたら、
めったうちにしてやろう。空港にはたくさん車があるから、轢いてやればいい。

決定だ。
人間をクビにして、オランウータンを雇おう。
どうせ投げるだけなら、オランウータンだってできるんだから。

2番について。
預けた荷物を丁寧に扱う。

これは人間にしかできない。
必然的に、人件費がかかる。
そして、時間もかかる。
果たして荷物を投げることがどれほどのタイムカットにつながっているのか
知らないけど、まあでも丁寧に扱えば少し時間はかかる。

必然的に、飛行機に乗るお客は、
フライト離陸時間のだいぶ前に来なきゃいけない。
ボーイング787を例にとると、300人ほどが乗れるので、
1人の荷物を積み込むのに10秒かかるとすると、
3000秒、50分だ。
あれ、意外と短い?
丁寧にあつかって30秒かかったとすると、
150分。たしかにけっこう長い。

でも、それに耐えられるお客さんだけを呼ぶのなら、
荷物はとにかく丁寧に扱う、というのも悪くない。

3番について。
一部の荷物はオランウータンに投げさせて、
追加料金を払ったお客のみ、人間の手で丁寧に扱う。

これがもっとも理想的だと思う。
オランウータンが人間を襲う危険性はあるけれど、
調教師を雇えばいい。(あれ?人件費のカットは?)

航空会社としては、追加料金をもらえてハッピーだし、
お客としても、荷物を丁寧に扱ってもらえてハッピーだ。
オランウータンはアンハッピーだけど、
日々屠殺される豚や牛にくらべればハッピーだ。
働いているので密猟される危険性もないしね。

全部のお客の荷物を丁寧に扱っていたら時間がかかって
しょうがないのなら、一部の荷物だけを丁寧に扱おう。
このことになんの不合理もない。むしろ大きなビジネスチャンスだ。

というのは、今私はこういうことを考えているから。
トルコに行ったら、たぶん何かしら楽器を買うし、
その楽器はおそらく手荷物持ち込みサイズを超える。
強引に持って入れればいいけれど、それがダメと言われたら、
置いていくか預けることになる。それは困る。預けると壊れるのだから。

そういうリスクを避けるために、
むこうで楽器を買って、飛行機で帰る前の日に、
トルコの郵便局に頼んで日本に送ってもらうのはどうか。
郵便局なら、そんなにサイズにもうるさくないし、
荷物を投げるようなことはさすがに無い。(たぶん)

よし、郵便局に、いくらになるかわからないけど、
何トルコリラか払って、送ってもらおう!

このトルコリラ、
私が郵便局に払ったトルコリラは、
航空会社がちょっと工夫さえすれば、
ぜんぜん航空会社に支払ってもかまわない。
安くつくならどっちでもいい。
別にトルコの郵便局に寄付したいとかいうことはないので、
荷物を無事に送り届けてくれるなら本当にどっちでもいいのだ。

ところが、航空会社は高い金を払ってオランウータン人を雇っているので、
荷物を無事に送り届けてくれない。
しかたないから、郵便局にお金を払う。それだけの話である。

なぜ航空会社はこのお金を私からぶんどろうとしないのか。
私以外の、多くの「ちょっと荷物を丁寧に扱ってほしい」と思ってる乗客から、
それぞれちょっとずつぶんどろうとしないのか。

それはなにも音楽にかかわっている人だけではなく、
(にしても、ヴォーカルの人はこういう問題がなくてうらやましい)
たとえばトルコのお酒を持って帰ろうとする人にとっても、
ありがたいサービスなのである。

お酒というのは普通ビンに入っているので、
投げられたら当然割れる。火炎ビンを見よ。
しかし、だいたいのお酒は機内に持ち込むことができない。
結果として、多くの人はビンを服やタオルなどでぐるぐる巻きにして
スーツケースの中に入れることになる。
それでも不幸にしてビンが割れて、
スーツケース中がワインまみれになることだってある。
そのクリーニング代は誰が支払うのか?とうぜん、客。

つまり、すべての航空会社は、
基本的に「うちの国でお酒を買うな」と言っているのと同じことになる。
あのワイン大国、フランスでさえ、フランスのワインを
持って帰ってほしくはないのだ。
どうしても飲みたければ、フランスに来ればいいんだから。
エール・フランスに乗って。

―――――――――――――――――――――――――――――

なぜ航空会社がこういうことを考えないのかは
心底不思議でならないし、
新しい航空会社であるLCCですら、
その問題には気づいていない。
むしろ荷物制限については彼らの方が厳しい。

いわゆるロストバゲージも、
はっきり言って意味がわからない。
なぜ荷物が運び込まれないのか?
宿題をやっていない中学生でもないんだから、
「忘れました」はないだろう。

そして、なぜ手荷物を運びこんでいないのに
飛行機が先に出発してしまうのか。これもわからない。
飛行機業界の人間に聞けば、
それなりに事情があるんですよ、という答えが
帰ってくるとは思うが、事情は事情、要望は要望である。

要するに、飛行機というのは、
乗り物が果たすべき基本的な条件を備えていない。
人間と荷物を安全に現地まで送り届ける、
これができていない時点で、乗り物としては成立しない。

これ以上分析を深めるためには、
実際に空港に行って荷物積み下ろしの様子を見学するなり、
航空会社の人間にインタビューするなり、
といったことが必要になってくると思う。
ただ、とかく飛行機というのは不思議な世界で、
例えば航空券の値段の決まり方もだいぶおかしい。
山の手線の運賃がいきなり100円アップしたりするか?
そういうことはない。
けど、航空券の値段は、予約する日が1日違うだけで、
平気で5000円ぐらい違うことがある。乗る飛行機は同じなのに。

航空ジャーナリストの人々がもっとそういう本を書いてくれたらいいのだが、
多くの場合、彼らは「機体」と「空港の設備」に興味があって、
航空会社全体のシステムについて多くを語らない。
ただの飛行機好きである。それはそれで幸せな人生だろうけど。

「グローバル化に対応できる人材の育成を」と言う前に、
まずこういったところから直していく必要はある。
まちがいなく、ある。
海外に行くのは、いまなお面倒くさい。

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