パズドラはなぜおもしろいのか

僕の尊敬する大人が何人かいまして、
その1人が株式会社SCRAP代表の加藤さんなんですけど、
加藤さんがどうもパズドラという携帯ゲームにハマっているらしい。
ほかにも、ええ年したデザイン会社の社長さんも、
そこそこハマっているというような情報があって、
「加藤さんともあろうものがハマるパズドラとは一体どのようなものか」
と思って、最近やってみてるんです。

で、なるほどこれはよくできたゲームだなと思ったので、
ちょっとパズドラについて考えてみたい。

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僕はこれまで携帯ゲームというものをやったことが、
まったくありません。皆無です。
基本的には「時間の無駄じゃねえか」と思っているので、
それだったら本読むかなんか考えたりするがな、という立場でした。

いまも基本的には「時間の無駄じゃねえか」と思っているんですが、
「でも悔しいけどおもしろいなあ」という立場です。
悪い習慣が一個つけ加わった感じです。

パズドラについて知らない方も多いと思うので、簡単に説明しますと、
『ZOO KEEPER』というゲームをやったことがあると分かりやすいんですが、
アレのもっと自由度が高いバージョン、みたいな感じです。
5×6マスの中に色のついた球があって、
それを並び替えてタテかヨコに3つ以上並べると消える、っていう。

つまり第一にはパズルゲームです。
でもパズルそのものはそんなに難しくない。

第二に、RPGゲームです。
ダンジョンがいくつもあって(たぶんほぼ無限に出てくると思う)、
敵を倒しながら前に進んでいきます。
で、この敵を倒すカギとなるのがさっきのパズルで、
球を3つ並べて消すと、その色の属性の攻撃ができる。
球を多く消したり、連鎖で消したりすると、より攻撃が強くなります。

第三に、育成ゲームです。
勇者のパーティーを組むみたいな感じで、
手に入れたモンスターでチームを組んで、
それでダンジョンをクリアしていくんですが、
モンスターを合成したり、進化させたりといった遊び方もできる。
手に入れたモンスターはモンスター図鑑に登録されて、
あとで眺めて優越感にひたったりできます。

つまり、パズルであり、RPGであり、育成ゲームであるという。
ここまでいろんなものが組み合わさっていて、しかもそれぞれに必然性がある、
というのは、すごくよくできてるなあと思います。
ゲームはここまで来ているのか。

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さらに、『ゲーミフィケーション』的な視点からおもしろさを考えると、
これも実によくできている。
ただ、別にパズドラにかぎった話ではないですが。

1.次に何をすればいいかが明確

ゲームを始めたときに、イントロダクションとして「実際にやってみよう!」的なものが
あるんですけれど、これが実によくできてる。ありえないほどよくできてる。
「あ、なるほどこれはこういう機能で、こういうときこうすればいいのかー」
といいのが実によくわかる。

そして、RPGでダンジョンを進めているときは、
とにかくパズルをいかに上手く解くかということに集中できる。
いろんな要素が組み合わさっているけれど、ゲームとしてはすごくシンプル。

逆に自分らの普段の生活というのは、
あまりにも「次何をすればいいかわからない」というところで
止まってしまっているんじゃないかなーと思いました。
思い切って「こっからは○○する時間」と決めてしまうのは大事。集中力は偉大。

2.細切れにできる

携帯ゲームのもっとも有利な点にして、もっとも迷惑な点なんですが、
とにかくスキマ時間にできてしまうんですね。オートセーブ機能もあるし。
あと1ダンジョンをクリアするのに5分~10分ぐらいなんで、
本当にちょっとした時間でできる。達成感がこまめに味わえる。
これは大学生がハマるとあやういですよ。もう授業とか聞いてられない。

仕事とか勉強とかも、こういう感じでこまめにできればいいんですけどねえ。
勉強するってなったら、それなりに準備とまとまった時間がいるのが問題。

3.成果がすぐ見える

ここがたぶん、現実世界とゲームの一番大きな違いで、
現実世界には「レベル」も「経験値」もないわけです。
自分はどれぐらいのことをやって、その結果どこまで来たのか、
ってことが、こんだけわかりやすいシステムが、
現実世界にもあればなあ、と思うんですけどね。ないんだなこれが。
無理にあっても「いやいや、ご冗談を」って感じになるし。

成果が見えないと、達成感もないし、
達成感が無いなら、なんのためにやってるんだってなるし。
達成感が得られるのが給料日だけ、っていうのはちょっと。
ていうかそこじゃないな。それは達成感とはちょっと違う。
給料で達成感があるのはわりと労働の初期だけのような気がする。

4.やりすぎないシステム設計

これはパズドラ特有のものなんですが、
うまいこと「やりすぎない」ようになってるんですねこれ。
「スタミナ」っていうパラメータがあって、
ダンジョンを冒険したりするたびに減っていきます。
しばらく時間が経つとまた少しずつ増えていきます。

で、スタミナがある一定以上ないとダンジョンを冒険できないので、
必然的にしばらく休まざるを得ない。
どうしても続けてやりたい人は、お金を払うか貴重なアイテムを使うと
続けられるんですが、まあそこまでいかないユーザーが多いと思うので、
多くの人はやりすぎないところで止められるわけです。

あと、こまめに「ゲームは1日1時間まで!」っていう注意も出てくるので、
「無尽蔵に時間を搾取しようとしてるなあ」っていうのとは、
ちょっと違う感じがあって、そこはなんとなく好感がもてますね。

とはいえ、長期的にみれば、それが飽きさせることを防いだり、
「やり足りない」っていう感覚をもたせたりして、
結果的により多くの時間を使うことになるのかもしれませんね。

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あとまあ個人的な利点としては、
パズドラは目と手だけ使うので、ラジオや音楽とかを聴きながらできることですね。
けっこうこれで時間をもっていかれることがままある。よくない。

自分の認識としては、やっぱりゲーム=無益なんですけど、
無益と有益の違いってなんなんでしょうね。
音楽や小説や映画が有益か、っていうと、
なんかゲームを不当に差別してる感じもせんではないし、
そこを突き詰めるとそもそもなんで生きてるんだ的な話になりますわな。

つまるところは「おもしろいから見る」「おもしろいからやる」が、
そういった娯楽系の根源ですからねえ。
おもしろいと思うものが変わらん限り趣味って変わらんかもしれんな。

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「おもしろいと思うものが変わらん限り趣味って変わらんかもしれん」
というところから、
パズドラと全然関係ない話をしますけど、
僕はできれば「小説を読む人」になりたいんですよ。
小学校のときは読んでましたけど、
中学校以来まあほとんど読んでなくて、
一時的に町田康とか柳広司を読んだりしてはいたんですが、
継続的には読まないんですね。あと伊坂幸太郎もちょっと読んでいた。
なんか羅列すると割と読んでる人みたいですが、
自分のまわりと比べるとだいぶ読んでない方です。

で、そのことにちょっとしたコンプレックスがあって、
たまに思い出したように小説を読んでみようとは思うんですが、
なんか長続きしないんですよね。

それはたぶん、僕が「で、結局のところこの2人はどうなんねん」とか、
「つまりどういうことを思ってこうなってん」とか、
結論やデータを欲しすぎる傾向のせいでしょうし、
「所詮フィクションじゃねえか」ということで、
心理学的なものを学ぶのにもあまり役立たねえ、という、
そういう貧しい有益―無益思考のせいだとも思うんですが。

ああ、つまり小説を読むのに、
学術書とかを読むときと同じスタンスで読んでるから、面白くないのか。
有益とか無益とかを超えた次元で読む、物語の過程を楽しむ、
そういう心のゆとりがないと、小説が読めないですね。
大人じゃなければ小説が読めない。なるほど。

・・・ということを考えると、学校の国語教育、
あれはもう、まったくもって小説を嫌いにする教育かもしれない。
だって、小説を読むお題目っていうのは、
「○○と△△の心の交流を通して、人情の機微を学ぶ」とか
「戦争の悲惨さを学ぶ」とか、「ナントカを学ぶ」ってついてくるじゃないすか。
でもそもそも小説は、ナントカを学ぶためのものじゃなく、
要するに単なる娯楽なんですよ。ゲームと同じ。
そして、定期試験で問われるのは、
「○○の心情を答えよ」っていうことですけど、
そんなものを理解するために我々は読んでいるのではない。
主人公の心の動きを理解することは必要ですけど、でも無くても読めるし、
心理学を勉強したいんだったら心理学を勉強すればいいのであって、
小説は小説でただ無心に読んだらいい。
よけいな価値をつけようとしなくていい。

ただ、僕はどうしても自分の「有益」―「無益」っていうスキームから
抜け出すことが難しくて、だから小説を読めないんですが、
パズドラはもしかすると、そのスキームを壊す一端になるかもしれません。
そんな壮大な目標もってゲームやる奴はいないですけど。

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ゲーミフィケーションについてのよくできたまとめ。
「ゴール」「ルール」「フィードバック」「自発的な参加」の4つを考える、
というのは、かなり応用範囲が広いと思う。
http://nakasato.tumblr.com/post/27973111096

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