貨幣と神を考える

聴いたラジオがあまりにも面白かったのでその話。

第215回 「S&Mスカイパーの二 ひまじんさんに師事の前半」
http://sgmx.info/2010/05/215-sm.html
第216回 「S&Mスカイパーの二 ひまじんさんに師事の後半」
http://sgmx.info/2010/05/216-sm.html

最近この『桜川マキシム』というPodcastをよく聴いていまして、
まあヒマなときとか、移動中によく聴いたりしてます。
パーソナリティのキャラが濃いというか、
主張が強いので、聴いていてなるほど~と思わされることがしばしば。
よかったら聴いてみてください。

で、この回は、「ひまじん」さんという、
もともとエンデを研究していた人がゲストの回。

―――――――――――――――

岩井克人さんの『二十一世紀の資本主義論』という本があって、
その本で、「貨幣とはバブルである」ということが言われていたんですよ。

簡単にいえば、貨幣とは、
「それを誰かにあげれば、何かしら価値あるものがもらえる、
 という風にみんなが思っている、
 ということによってのみ成立している」
というような性質を持っている、ということ。

もう少し具体的に説明すると、
貨幣そのもの、イコール紙きれ、それ自体には、
あまり価値がないわけです。
一万円札を一枚刷るのには22円しかかからんらしい。
つまりアレは22円です。物質としては。

でも実際にはこれが一万円として流通している。
なぜか、というのは、まさに、
「『これは一万円の価値を持つものである』ということを、
みんなが信じている」からにほかならない。

そういう話があって、最初読んだ時「うおお!!」ってなったんですが、
でもあとあとじっくり考えてみると、
「ん?どういうことだろう?」ってなったんです。
今お読みいただいて分かる通り、あまりうまく説明できない。
それはたぶん僕がよく理解できてないからだと思います。

で、この岩井克人さんの本を読んだ時の感動が、
今回このラジオを聴いて、ふたたびよみがえってきた、
しかもより明確に、というのが、今回の感想です。

―――――――――――――――

貨幣は神である。

というと、
さもありがちな拝金主義批判のようですが、
話を聞いていると、貨幣と神はびっくりするぐらい似ている。
どういうことか。

たとえば、神っていうのは万能で、
できないことがないじゃないですか。
で、しかも、お願いをすれば願いをかなえてくれる。

これが、まったく貨幣と同じである。
つまり、僕らは、金さえあれば、ほとんどのことに関しては、
なんでもできると思っているし、
金にたよれば、ほとんどのお願いはかなえてもらえる。

いや、こういうことを書くと、お前はホリエモンか、という話になるんですが、
たとえば音楽がうまくなりたかったら高い金払って音楽学校に通ったり、
あるいは女性にモテたかったら、なんかスポーツジム行くですとか、
いろいろありますけど自分磨き的なことをしようとしたりとか、
そういうことはお金でできるわけです。
友情は金で買えるかというとちょっと微妙な気もしてきましたが、
まあでも僕らは現実的には「金さえあればなあ」と、日々思いながら暮らしているわけです。
金に万能感を感じている。

もう1つ別の例を挙げると、
たとえば神っていうのは不死で永遠の存在ですが、
お金にもそれに近いような性質がある。
お金って、何か商品に替えないかぎりは、価値が変わらない。
商品に替えた時点で劣化が始まる。

お金っていうのは、「それと同等の価値を持つなにかと交換できる権利」で、
それでモノを買ってしまったあとは「そのお金と同等の価値を持つなにか(別のものと交換できない)」
なわけです。つまり価値が下がっている。
また、服であれ家であれ車であれ、
現実的な物質というのは価値がだんだん下がっていくけど、
お金の価値は下がらない。

いや、円安とかあるじゃないか、というのもわかるし、
ジンバブエドルとか見れば、お金なんていつかは紙きれじゃん、
というのももちろんあるんですが、
そういうことがあっても、
我々のお金に対する信用というのは、案外崩れない。
「ジンバブエドルがダメだ!」ってなったら、
たぶん別の国のお金が流通するだけで、
やっぱり「お金」は生きている。
本質的に劇的な変化があったわけじゃない。

「お金」という概念と、それにまつわる信頼っていうのは、
たぶん未来永劫崩れないんじゃないか。
少なくとも今の自分たちには、そういう未来が想像できないほどに、
そういう世界観というのは隔たっているんじゃないかと。

それは「お金がなかったら物々交換で不便じゃん、だからなくならないよ」という話ではなくて、
「交換のためのツール以上の価値を持ってしまっている存在としてのお金」
ということが「なくならないだろう」というわけです。

もとはといえば、お金というのは、
そういう交換のためのツールなわけでして、
それがあることによって流通が促進されることが目的なわけです。
ところがあるときから、これを貯蓄する、貯め込んでいくことが目的化した。
本来は流通のためのものが、これが貯めこむものになった。
なぜなのか。それはお金にはそれ以上の価値があるからじゃないか。

それは単純に「他のものと交換できる権利」という
「自由」だけじゃなくて、なにか神的なものに近いんじゃないか。

―――――――――――――――

その神的なものが何か、という問いに対する答えとして、
ちょっとずれるかもしれないんですが、
僕がラジオを聞いて思ったのは、たぶん、

「みんながそう信じているからそうなっている、
 ということ以外に何も根拠が無いことの気持ち悪さ」

なんじゃなかろうか?
全然説明として上手くなくて申し訳ないけれど。

「共同幻想であることに気づいていながら
酔わなければならないことの理不尽さ」
みたいなやつなんですかね。

神っていうのは、ぶっちゃけ、
あるかどうかわからないじゃないですか。

なんで神っていうのがあると思える人がいるんだろう、って考えると、
やっぱりそれは、他に必死で祈ってる人間がいるからですよ。

たとえばなんか大きな岩があったとしましょう。
この前を通りがかった人がみんなこれを拝んでいく。
そうすると「なるほど、この大きな岩はよほどありがたいものだな」
と思って、自分も拝んでみようとする。

それが習慣になると、いつしかその大きな岩、
つまりたんなる石ころに、神性が賦与されてくる。
そういう種類の神性というか。

で、なんというか資本主義社会というのは、
そういう、
「『なんかどうやらすごいらしいからすごいものらしい』
ということ以外に根拠が無い状態」というのが、
経済現象としてけっこう頻繁に見られるんじゃないか。

たとえばギリシャ国債の格付けなんてのが大騒ぎになりますが、
いっちゃえば所詮、アメリカのいくつかの格付け企業が、
「この国はヤバそう」って判断しだだけじゃないですか。
けど、それがすさまじい地殻変動をまねき、
ユーロ圏破綻につながりかねないほどの勢いをもってしまう。

あるいは、ある商品が大ヒットしたとして、
それがなぜ大ヒットなのか、ということに関して、
「ヒットしているからヒットを呼び、ヒットがヒットを呼び、
 ついに大ヒットになったのだ」としか言いようがない状態がある。
多くの場合、それを「この商品はこういう画期的な特徴があってー」
というふうに説明したがるんですが、
現象だけを追うとそうとしか言えないケースが多々ある。

あるいは、それを逆手にとって、ハッタリをかますことで、
「どうやらあそこの企業は成長するらしい」といううわさがあると、
一気に資金が集まってきて、結果として利益を出せてしまうとか。

なんというかそういう「実態のないもの」が神性を持つ、
という現象、のおもしろさと気持ち悪さ(不気味さ)、
みたいなものが、端的に現れているのが、貨幣である。

―――――――――――――――

なんかこの、
貨幣と信仰、貨幣の根拠のなさ、みたいな話をすると、
どうも途中からよくわからなくなってくるというか、
書いてて意味が分からなくなるんですが、
今回ももしかしたらそうなっているかもしれません。

これはもしかすると、本気で「貨幣には根拠が無い」
ということを考え出すと、その先があまりにも怖いから、
わざと考えないようにブレーキをかけているのか。

それって例えば「人生に意味が無い」ってことを
真剣に考えることの恐ろしさと近いかもしれなくて、
そういうことを考えないようにする力がどっかで働くんだろうか。

まあ、なんか拙い説明で申し訳なかったですが、
ラジオの方を聞いていただけるとだいぶ分かりやすいと思いますので、
よかったらぜひぜひ!
聴いてみてください。

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エンデの『はてしない物語』は、
だいぶすさまじい貨幣経済への皮肉になっている、らしい。
「願いをかなえるごとに現実とのつながりが一つ消えていく」のくだりは、
聴いていてぞぞっとしました。いい意味で。

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