価値観の移動について

最近文章を書いていないなあ~と思ってふりかえると、
5月はまったくブログを更新していませんでした。
こりゃいかん、と思ったので、とりあえず今日更新。
更新のための更新。

まずはとある本の話から。

反省させると犯罪者になります (新潮新書)
岡本 茂樹
新潮社
売り上げランキング: 434

そして、この本の書評がこちら。
HONZ-『反省させると犯罪者になります』

自分はまだこの本を読んでいなくて、
HONZの書評を読んだだけなんですが、
内容がすごくおもしろそう。

つまり、「反省しろ!」つって強制的に反省させると、
むしろ反省しないし、もう1回同じ過ちを繰り返す、ってことです。

なるほど。心当たりがものすごくある。

会社に入ってからというものの、
まあ、ホウ・レン・ソウというやつで、
何かと上司や先輩に報告する機会が増えました。

で、なんというか会社の全体朝礼みたいなものが、週1回、弊社にはありまして。
ふだんの出社時間よりだいたい1時間半、早めに始まるんですけども。
全体朝礼への参加は、べつに義務じゃないんですよ。
で、出席しても、労働時間に含まれない。(それはどうかと思う)
あくまで、形式上は「この曜日は、朝早くから全体朝礼やってるからよければ来てね」というスタンスです。

じゃあ実際上はどうかというと、まあ、「来るのが義務」という雰囲気があるわけです。
というか、朝礼への参加が、人事評価にも結びつくとかつかないとか。
たぶんつかないんじゃねえの?って僕は思ってるんですが(だって義務じゃないし)、
実際どうなんでしょう。

そして、その朝礼に来ないと、「なぜ来なかったし」という理由を口頭で伝えねばならない。
本来は「いや、そもそも義務じゃねえじゃん」ということを言いたかったんですが、
そう言いづらい雰囲気があったので、
「ふだんと同じ時間に起きちゃって」ということをだいたい言い訳にしていました。

これが、要するに、「反省させると犯罪者になります」ということです。

つまり、会社には会社の価値観があって、
俺には俺の価値観があるわけじゃないですか。
で、会社としては、会社の価値観に染めたいわけです。
そのこと自体は、すごく当たり前だし、
自分もある程度は染まらないといけないとは思う(ようになった)。
だから、染められることがイヤなわけではないのです。
それが合理的な価値観だと思えるなら。

じゃ、その、「ある人がもっている価値観から別の価値観に移動する」
ということはいかにして成し遂げられるのか?

このテーマに今すごく関心がある。教育の問題。

つまり、「価値観A」が「価値観B」に移動するためには、
「価値観A」の人にどういう教育をすればよいのか。
あるいは、すべきではないのか。

逆に、われわれが教育される側、
つまり「価値観A」の人間だとして、
移動すべきでない「価値観C」(例;365日24時間死ぬまで働け)と、
移動すべき「価値観B」を見分けるにはどうしたらよいのか。
どこまで譲るべきなのか、どこを譲ってはいけないのか。

――――――――――――――――――――――――――

で、たとえば「反省させる(反省文を書かせる、廊下に立っとれ、etc)」という行為を、
こういう観点から考えてみると。

「価値観A」の人間に「価値観Bがなぜ正しいかを考えさせる」
という行為なので、これはもう、ものすごく馬鹿げている。

だって、「価値観A」の人間は「価値観B」ではないからそうしたのであって、
もし「価値観B」がよいと思っているなら、既にそうしているはずで。
むしろ、「価値観B」の正しさは、「価値観B」を身につけている人間にしか理解できないわけです。
(正確には、価値観、というより、行動規範といった方がよいかもしれない)

あるいは、「罰を与える」という行為を、
教育の観点から考えてみると。

「価値観A」を存続させることのコストを意図的に上昇させることによって、
「価値観B」へと移動させようとする、という手段だと考えられます。
キリスト教徒を迫害しよう、みたいなムーブメントがこれにあたります。

で、そうするとどうなるか、というと、当たり前ですが、隠れキリシタンになります。
つまり、表面上は「価値観B」であるが、実際上は「価値観A」である、という。
これはこれで、社会の統治システム的には全然オッケーなのですが、
まああんまり火種は消えていないよね、というのが問題です。
実際上は価値観が変わっていない。
たとえば会社でこれをやると、緊急時には裏切る可能性が高い。

最後に、「むりやり同居させる」というやり方もあります。

つまり、価値観Bの集団の中に放り込むことで、
価値観Bでなければ生活がしづらいような状況を作り出し、
価値観Bのように振る舞わざるをえなくする。
そうするうちに価値観Bのよさが分かってもらえるはずだから、
最終的には価値観Bになってくれるはずだ、という。

実際、「価値観B」のよさは「価値観B」を身につけている人間にしか理解できない面もあるので、
これは案外よいやり方なのかもしれません。
たぶん多くの会社がこういうやり方をとっていると思う。

――――――――――――――――――――――――――

「価値観A」を「価値観B」に移動させる、もっとも理想的なやり方としては、
「価値観B」が「価値観A」の人間にも理解できて、
しかもよりよい考え方である、ということを示すことが必要です。

つまり、AにはAのロジックがあるわけですが、
Aのロジックを使ってBが理解できることが必要。
もしくはBをそのレベルまでかみくだく必要がある。

――――――――――――――――――――――――――

ここまでは、「B」の側、すなわち教育する側の話から、
価値観の移動について語ってきました。

じゃあ逆に、「A」の側は、どういう態度で教育を受ければよいのか?
何を受け入れて、何を譲らないべきなのか?

たとえば、もっとも分かりやすい例として、宗教的信条があります。
仏教徒だから、生き物が殺せない。
イスラム教徒なので、1日5回は礼拝したい。
社員食堂に豚肉を使わないメニューが欲しい。エトセトラ。

なるほど、じゃあ、社員食堂にもそういうメニューを導入しましょう、
っつって、導入するのはよい。

じゃ、たとえば定時教というのがあったとして、
どんなに仕事が残っていようが、
毎日6時には帰ってお祈りをしなければならない、
という宗教があったとします。

これは認められるのか?という。

これはまあいいや、そんな人はそもそも雇わないし。

じゃあ、宗教的信条ってレベルじゃなくて、個人的信条として、
「嘘はつかない」ということをひたすらモットーにしている人がいるとする、
そういう人が、営業行為のために嘘をつく必要があるとする、
これはどうなんだろう?

これはどうなんでしょうねえ。

嘘をつかずに営業行為をする、というのがベストなわけですが。

これもちょっと極端すぎるか。

要するに、
「一般的にみてそれなりに相当である価値観A」と
「一般的にみてそれなりに相当である価値観B」が衝突するとき、
どうすればいいんですかねえ?ということがとても気になる。

あるいは、その「一般的にみて」というのがそもそも疑わしくて、
日本の常識が世界の非常識だったりするので、
もはや世の中には「価値観A」と「価値観B」の対立しかない、
という風にもいえる。

で、じゃあ仮に、価値観Aの人は価値観Aでよいし、Bの人はBのままでいい、
となったとして、それってもったいなくないか?とも思う。
そこもすごく気になっていて。
AもBも何かしら譲歩すべきではないのか、という。

しかし、そもそも会社の価値観Bというのはそうそう変わりませんし、
いつクビになるともわからない時代なので、Aの身としては、
価値観Bに身をささげるのもなんだかバカらしい、というのも、ある。

――――――――――――――――――――――――――

じゃ、そんなとき、『反省させると犯罪者になります』の著者はどうするか。

「とことん価値観Aを突き詰める。」

Bに歩み寄るよう説得する、なんてことは、全くしません。

価値観A的には、Bはマジでありえない、ということを、存分に語ってもらう。
で、語り終わると、驚くことに、勝手にBの立場に歩み寄っていく。
らしい。

要するに、「めちゃめちゃ愚痴らせる」ということです。

そういう方法で本当に人間が更生するのか、と思うんですが、
少なくとも犯罪者の場合は、これで更生するらしい。
そして、子育てにも割と使えるらしい。

いや、でもなんかね、そういうことはあって、
自説がいかに正しいか、ということを証明しようとすると、
結果としてむしろ間違っていることがわかる、ってのは往々にしてある。

それに類似した感じなんでしょうか。

なんにせよ、「みんなはBだ、って言っているけど、
いやでも俺はAなのだ」という場合は、
1度Aの正しさを存分に語ってみるのがよいと思います。
独り言であれ、相談であれ。

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