なぜリア充は爆発せねばならないのか

「リア充爆発しろ」という形の言説を見るにつけて、
非常に不毛ではあるけれど、
まったく分からないわけではないなあと思う。

言い方は違うものの、要するに妬みという感情ですし、
妬みという感情は、誰しも少なからず持っているものだからです。

ただ「リア充爆発しろ」型言説が特殊なのは、
それが「自分と驚くほど関係のない人に対する嫉妬」
である点においてです。

たとえば、同級生でも同僚でもいいんですが、
なぜかわからないけどいつの間にかあいつの方が出世してる、
あいつの方がモテてる、あいつの方が金持ってる、などなど、
そういう事象に対して嫉妬を持つのはまあわかるんですよ。

けど、リア充、いわゆる爆発すべき
対象として名指されるタイプのリア充と、
それを爆発せんことを願望するいわゆる非リアの人は、
おそらく社会的に接点を持っていない。
まったくないわけではないでしょうが、例えあったとしても、
それは「直に接しているリア充個人」ではなく
「リア充的なるもの一般」に対するものであるはずです。
これがなぜなのか。

ーーーーーーーーーーーーーーー

「嫉妬」というものについてこの前ある友人と喋ってみたのですが、
これってなんなんだろうというと、
僕としては「矛盾」なんじゃないかなと思ったわけです。

つまり、自分は相手と同等もしくは格上であると思っているにもかかわらず、
相手の方が実際にはより上にいるという状態。
(自分>相手)かつ(自分<相手)という矛盾。
難しくいうと認知的不協和。
これが嫉妬というものの一番すっきりした定義なんじゃないかと思っています。

逆にいうと、格上だと思っている人に対して嫉妬は起こらない。
たとえば先輩とか上司に嫉妬することってまああまりないと思いますし、
尊敬してる相手に嫉妬することもまああまりないでしょう。

だとすると、世の中の人がみんな自分より上であれば、
嫉妬というのは起きにくいわけです。
逆に、同等もしくは下の人が多ければ多いほど、
嫉妬するチャンスは増えてしまうわけです。

ということを考えていくと、あるひとつの仮説が出てきて、
それは、

「すべての人間が平等である、ということになっている近代社会においては、
嫉妬というものが非常に増えてくるのではないか?
そして、身分社会においてはむしろ嫉妬が少ないのではないか?」

ということです。

平等であるということは、
相手と自分のあいだに人間としての優劣がないということです。
にもかかわらず、実際には格差が山ほどあるわけで、
その矛盾をどう処理するのか、というのが完全に個人任せになっている。

身分がある場合、たとえば格差があったとしても、
「あの人は貴族だから」「武士だから」という理由付けで、
自分より上の人だと思うことができるから、
わざわざ嫉妬することがない。
あるいは、多少平等よりの考え方をしている人だったとしても、
「でも俺たちは農民だからなあ」という理由で諦めることができる。

ーーーーーーーーーーーー

この「諦めることができる」というのが、
割と大事かもしれないと思っていまして、
「諦める」っていうことは、裏を返すと、
「現在を肯定する」ってことなんですよ。

「諦めないのはいいことだ」といいますが、
「諦めない」ということは、「現状を否定する」ということなんです。

もちろん、すでに何かを目指していいて、
そのために何かをやっている人は、この2つがあべこべになります。
「諦める」ということは「努力している現状を否定する」ということだし、
「諦めない」ということは「努力している現状を肯定する」ということです。

何かやりたいことがあったとして、
でもそれをやろうとしないというのは、
これは現状の肯定なんです。
それはそれで精神衛生的にいい。
長期的にはどうかわかりませんが、短期的にはいい。

もしここで「今までやらなかった自分のバカ!」ということを認めちゃうと、
現状どころか、過去数年間、下手をすれば数十年間を否定することになるわけです。
これはえげつない。
かなりのダメージがある。

人間がそうそう簡単に習慣を変えられないのは、たぶんこの辺に原因があって、
変えちゃうと過去を否定しかねないからなんですね。
過去を否定するってのはかなり耐えがたい。
カール・ポパー的にいえば、それに耐えうるものだけが真実に近づくんですが。

ーーーーーーーーーーーー

じゃあ何かが変わるためにはどうなればいいか、
ってことを考えると、
「ストーリーとストーリーのつなぎ目を考えること」
が必要なんじゃないかな、と思っていて。

たとえばRPGを考えると、
なんの脈絡もなく、突然主人公が別の場所に移動したりすることはないわけですよ。
「〜〜を倒すためには、〜〜という鍛冶屋のとこに行かねばならないようだ」
「〜〜の鍛冶屋に会ってきたが、最強の武器を作るためには〜〜という鉱石が必要なようだ」
「〜〜鉱山に入るためには、〜〜の呪文を覚えなければならないようだ」
ここまでたらい回しには普通なりませんが、
まあでもストーリーとストーリーの間には、
必ず何かしらの必然性がないといけないわけです。
そしてRPGはそういう必然性で埋め尽くされている。
だから楽しいんじゃないかとすら思うんです。

まだ広告のお仕事をやったことはありませんが(そのうちやりたいと思っている)、
広告のお仕事って要するにそういうことなんじゃないかと。
「ストーリーが、別のストーリーにつながるためのつなぎ目を考える」。
今までスポーツクラブに行かなかった人に対して、
スポーツクラブに行くきっかけを伝え、行ったあとのストーリーを提示する。
あるブランドのビール、そのビールがある生活のストーリーを描く。
そして、それがどれだけ魅力的、かつ納得できるものとして見せられるか。

かっこいいだけ、あるいは目立つだけの広告がなぜダメかというと、
そこにはストーリーが無いからなんですよ。
もともとのファンしかそれに反応しない。好きでない人を振り向かせられない。

もちろん、30秒もあるCMならともかく、15秒しかないCMで、
あるいはたった1枚のポスターで、たったB5の広告で、
なにが伝えられるってんだ、という話もあるでしょう。確かにそう思う。
自分がライブのフライヤーをデザインするとして
そこである種のストーリーのつなぎ目を作るなんて、
そんな芸当できるのか、と思います。

けど、たぶんできないことじゃなくて。
簡単じゃないけども。
俺はインド音楽にはロックと通じるものがあると思うし、
トンバクにはテクノと同じぐらい魅力があると思っています。
何かそれを伝えることができればいいんです。

ーーーーーーーーーーーー

そして、こういったことを考えると、「リア充爆発しろ」と言っているとき、その人は、
「リア充的なストーリー」と「自分の人生というストーリー」が
まったくつながる気がしないんですね。
そういったものを想像することすらできない。
もしそこにつながりを見出している、可能性を見出しているのであれば、
多少何かしらのことをやろうとするのですが、
そこに不可能性しか見出せない時、人はどういうことを思うかというと、
「奴らはズルをしている」という風に思う。

「奴らは奴らにしかわからないズルをしていて、
それゆえに奴らはリア充的生活を謳歌できるのである。
そして彼らはそれを決して我々に教えようとしない。
許せない。」

というのが、たぶん、「リア充爆発しろ」の根っこにあるものなんじゃないかなあ、
と思っています。
階層移動の不可能性に対する恨み。
そういう意味では、なんというか士農工商社会を彷彿とさせます。
しかも、「平等社会である」にもかかわらず「階層の移動が閉ざされている」
という点で、そういった恨みはよりいっそう大きいのではないかと思います。

「爆発しろ」という命令形(願望形?)がまさにそれを物語っていて、
たとえば「俺にも女を分けろ」とかそういう話ではないんですよ。
「お前も俺と同じぐらい不幸でないとおかしい」という、
平等社会ならではの発想です。

そして、彼らは自分が幸せになることよりも、
むしろ「平等が実現されること」を望んでいる。
幸せになれるわけがないから。

ーーーーーーーーーーーー

追記

「奴らは奴らにしかわからないズルをしていて、
それゆえに奴らはリア充的生活を謳歌できるのである。
そして彼らはそれを決して我々に教えようとしない。
許せない。」

ってのは、なんかユダヤ人に対する迫害理由みたいにも読めるので、
こういう感情はけっこう洋の東西を問わず、昔からあるのかなあと思ったり。

広告

2 Responses to “なぜリア充は爆発せねばならないのか”


  1. 1 しんばるしんた 2013年9月17日23:19

    昨日はおつかれさま(C=C)。
    君のブログは時々読ませてもらってるよ。相変わらず面白い記事を書いてていいね(○´∀`)b。
    一つアドバイスすると、この内容を壊さずに三分の一くらいの文章量に減らせることができるといいね。まあ理想は500文字くらいかな。それができるようになると「広告」の意味が体感できると思う。
    例えば岡田斗司夫って「理論派」なんだけど短い言葉で的確に伝えてる喋りは、とても勉強になるよね(^O^)。

    • 2 opinoki 2013年9月17日23:23

      昨日はおつかれさまですー。
      いつもお恥ずかしい記事を書いてまして、すみませぬ。

      文章をどうしても長くしちゃう癖があるんですよね~。
      これをもっと必要なとこだけバサッと切り抜けるワザは欲しいです。


コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中





%d人のブロガーが「いいね」をつけました。