ウォッカを買おうとしなかった話

昨年の11月ぐらい位から僕はウォッカにハマっている。
きっかけはなんかのニュースで「インドの人はハードリカーを瓶から直接飲む」というようなことを読んだからだ。
(ハードリカー:ウィスキーやジン、ウォッカなど、アルコール度数の高い蒸留酒)
なるほどそういう飲み方もあるのかと思い、
さすがに直接飲みはしなかったが、ハードリカーに手を出してみようと思った。

で、ウィスキーは一時期よく飲んだことがあったから、
ウォッカを飲んでみようと思った。単純な好奇心である。

まずは手始めにコンビニでスミノフウォッカを買ってみて、
それをストレートで飲んだところ、案外うまいのだ。
僕は割と強い酒が平気な方なので、特にきつすぎるとは思わなかったし、
単なるアルコール臭に見えて、実はその中にいろんな芳香が含まれているウォッカを、
僕は面白いと思った。

その後、酒屋などでいろんなウォッカをちょっとずつ買ってみて、
ちょっとずつ飲んでみたところ(もちろんストレートで)、
単なるウォッカの中にも相当ブランドで違いがあることがわかった。

ウォッカといえばどれも一緒で消毒液みたいな匂いでしょ、
というのがたぶん世間の意見の大半だと思うのだが(そもそもウォッカって何?という人も多い)、
ストリチナヤは華やかでパァッと広がる香りだし、
アブソルートは甘く濃厚な味わいだし、
フィンランディアはスーッと抜けていくさわやかな香りだ。
他にも10種類ぐらい書きたいのだが、やめておく。

違いがわかりやすいうえに、ウォッカはコレクター意識をいい具合にくすぐる。
日本で販売されているウォッカって、そんなに種類がない。(後になってこれは間違いだったとわかるのだが)

僕は一時期ワインを勉強しようと思ってよく飲んでいたのだけど、
結局、ワインの世界を把握するために飲まねばならないワインの数が膨大すぎることに圧倒されて、
いつしかやる気がなくなってしまった。

けど、日本の街中でよく売られているウォッカなんて、せいぜい5~6種類だ。
その全種類を飲めば、平均的な日本人よりはかなりウォッカ通になれるし、
たまに酒屋に入っていて珍しいウォッカがあれば買う、ぐらいの買い方でも、
普通の人が知らないような、いろんなウォッカを網羅することができる。

なので、僕の最近の楽しみは、知らない街に行ったら、その周辺の酒屋さんをチェックして、
珍しいウォッカがないかどうか探す、あったら買う、というものだ。
これが結構おもしろい。レアアイテムを見つける面白さとでもいうのだろうか。

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そして、最近僕は年末年始で、実家に帰省した。
実家の付近のデパートは、けっこうデパ地下が充実していて、
酒屋コーナーも、初めてまともに行ったが、かなり充実していた。

そこで僕は3本新しいウォッカを見つけた。
3本ですよ3本。3本新キャラが見つかるなんてそうそうない。
僕はものすごくテンションが上がった。
さすが地元!と地元を誇らしくも思った。

けど、僕が買ったのは1本だった。
お金がないからでもない。
荷物が多かったからでもない。

なんかそこで、3本買ってしまうことに「つまらなさ」を感じたのだ。

この僕の「買わなかった」ということが、
なにかこう、僕の欲求のあり方というものを、すごく象徴しているんじゃないかと。
このことは、ものすごくつまらないようでいて、ものすごく大事なこと、
ものすごくシンボリックなことなんじゃないかと、しばらくして思いました。

もし僕が、本当にただただウォッカを集めたくて、
珍しいウォッカがあればそれを買って飲んでみたい、というのであれば、
そのウォッカを買わない理由はどこにもないんです。

というか、そもそもそれが目的であれば、
ウォッカのネット販売なんて探せばいくらでもありますから、
そこで珍しいウォッカを買って、集めていけばよいわけです。

しかし僕はそういう消費をしない。なぜなのか。

結局、僕がお金を払っているのは、ウォッカそのものではなく、
ウォッカの購入プロセスも含めた一連の「体験」です。

そして、ウォッカをいきなり3本買ってしまうことは、
その「体験」の賞味期限をいきなりぐぐっと縮めてしまうことになる。
そういうことなのだと思いました。

もし仮に、品ぞろえが変更になり、次にそのデパ地下に来たときには
「買わなかった珍しいウォッカ」がなくなっていたとしても、
それはそれで「あ~~、なくなってしまった~~」ということで
楽しめるような気がします。

なくなってしまったからといって僕はそれをネットで探し求めて買わないような気がします。
どこか実店舗でたまたま見つかることを期待しながら、酒屋をまた巡ると思います。
僕はモノだけを買いに来ているわけではないから。

そういうことなんだよな。
モノが売れないのはそういうことなんだよ。
マーケティングとはたぶん、「そういうこと」を考えるお仕事なんだよ。

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