世界は揺らいでいる

ここ最近Facebookで何度かつぶやいていますが、
ネイト・シルバー氏著の『シグナル&ノイズ』という本があまりにも面白くて感動しています。
たぶん今年ベストの本になるんじゃないだろうか。(個人的に)

この本の大筋の内容としては、「人間」VS「データ」という内容です。
といってもそれは敵対しているということではなくて、
あるいは「データは見せ方によって他人をだませるんですよ~」という話でもなくて、
必死でデータから何かを読み取ろうとする人間と、
しかしそれでもその試みが失敗してしまう、データというものの難しさについて書いている。
まあ一種の叙事詩というか、バトルマンガだと思ってもらえればよいです。
古代の叙事詩が人間と神の物語について書いているとすれば、これはまさに現代の叙事詩です。

まだ僕はこの本を読んでいる途中で(なにしろ594ページもある)、
でもあとようやく1章で読み終わるという段階なのですが、
そろそろ読み終わりに近づいてきて、なんとなく全体に通底するテーマを感じました。

それがタイトルの「世界は揺らいでいる」です。
頭の中に浮かんでいるイメージとしては、手書きのパラパラ漫画です。
あの漫画の線って、おおまかな輪郭は一緒なんですが、でも常に線が動いていますよね。
ああいう感じなんです。ああいう感じで世界を見ることができるようになる。

そして、世界は揺らいでいるから、その線と線のあいだにうっかりできてしまったスキマから、
誰かが脱出したり、あるいは本来通れない人が通ったりすることがある。
そういう風に世界はできているんだなぁという、そういう世界観を持つようになります。
たまたまゲートが開いてしまったり、たまたまゲートが閉じてしまったりする。

なんかある程度本を読んだりしている人であれば「不確定性原理」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、
まさしく世界全体はあの状態にあるのではないかと思います。
ミクロのレベルで最終的に粒子の位置が把握できないように、
世界全体に関しても確率的な形ですべては存在していて、
それが時としてあたかも絶対的なもののように見えてしまうということなのかなと思います。

もちろん99.99999%のものもあれば50%のものもあり、
それらを区別することは大事なのですが、そのような形で世界が存在しているということを
どこかで覚えておくだけでもすごく生きやすくなるのではないか、というようなことを感じます。

自信過剰と自信がまったくない人はどちらも100%と0%の世界に生きているという意味で同じであり、
自身がまったく無い人は逆に自分の能力の無さに対する見積もり能力にものすごい自信がある、
ということは裏返すと自信過剰なのではないかということです。
(これは、最近自分が感じている「あるものに絶対的に反対する人はあるものに絶対的に賛成する人と似てくる」という現象と似ています)

そして、プラスであれマイナスであれ、自信過剰を打ち砕く最良の手段というのが
今のところ「テストをすること」なのではないか?と思います。
(試験をする、ということではないです。試す、ということ)

世の中でよく「自信を持った方がよい」と言われるのは、
結局それが「テストをする」という行動につながりやすいからであって、
「自信を持つこと」それ自体がよいわけではないのかなぁと感じます。
自信が過剰であればテストが悪かったとしても「何かの間違いだ」としか受け止められず、
次に同じ失敗を繰り返すことからは結局抜けられないからです。

しいていえば自信がほどよくある人は、テストの結果が返ってきたときに、
ノイズに惑わされずシグナルを見つけるまでの試行回数が多くなりやすいから、
結果としてシグナルを見つけやすく何かを手にすることができるのかな、と思います。
「根気よく続ける」という性格特性も、結局はテスト回数が多くなるから「良い」のだと思います。

※ここでのノイズ=たとえばある戦略を実行して勝ち負けを試す際に、
 戦略は本当は良かったのにたまたま負けたこと、あるいは本当は戦略が悪かったのにたまたま勝ったこと。
 シグナル=戦略が良く実際に勝った、あるいは戦略が悪く実際に負けた

とはいえやっぱり自信過剰(私が負けたのはたまたまで、私が勝ったのは戦略が良かったからだと思う態度)であれば、
後者のノイズ、すなわち「戦略が悪かったのにたまたま勝った」ケースを「戦略が良かった」というシグナルとして
とらえてしまうため、それはそれでノイズに振り回されるでしょう。
あるいは逆の自信過小(私が負けたのは当然で、私が勝ったのはたまたまだと思う態度)が
「戦略が良かったのにたまたま負けた」というノイズを「戦略が悪かった」というシグナルとして
とらえてしまうことと大して違いはないのかなと思います。

ただ戦略を変更することにはコストがともないますから、
自信過小の方が必然的に戦略変更コストが大きくなりやすいという傾向はあります。
なので自信がある人のほうがやや有利なのかもしれません。それは戦うフィールドにもよりますけれどね。

なので自信が無い人が無理に自信を持とうとしたり、あるいは自信がある人が妙に疑い深くなろうとしたりしても、
それはあまり意味のないことで、要はテストの回数を増やすこと、
そしてテストの結果を見つめることが大事なのかなと考えています。

ここで何度も言っている「テスト」というのは本当に抽象的な概念で、
たとえば今日1日働くこともテストだし、ランチを選ぶこともテストだし、
まさになにかの試験を受けることももちろんテストです。

なので、テストには必然的に、長期スパンのものと短期スパンのものがあります。
ポーカーなんかは短期スパンです。反対に、建設なんかは長期スパンです。
でも短期スパンを積み上げて長期スパンとして扱うこともできますし、
逆に建設という業務を細分化することで短期スパンとして扱えるものもあると思います。

そんな感じです。
世界は揺らいでいて、本当の姿を知ることは誰もできないが、でもそれに近づくことはできると思います。

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